《MUMEI》

「?」

僕が首を傾げていると、おばさんは『そうだ』と、思いついたようにソファーに座り、僕に見せるように洗濯物を畳み始めた。

(あ、そっか…洗濯物を畳みながら話そうって事なんだな)

それをなんとなく理解してソファーに座ると、カゴに入れた洗濯物をおばさんの方を見ながら畳みはじめた。

「グートゥ!(いいわよ!)」

一応意味は合っていたらしく、おばさんは親指を立ててにっこりと笑うと、そのまま台所にお茶を煎れに行ってしまった。


(お隣さんだけど、さっき会ったばっかりの人の家で、自分の家の服を畳んでるって…何だか変なカンジだなぁ…)

そう考えながらほんわり暖かな服を畳んでいると、ふと部屋の窓辺にあった飾りが目に入った。

(クリスマスのリースみたいなやつなのかな…やっぱりもう飾ってるのかぁ…)

僕は洗濯物を置いてその側まで行くと、何だかそこには赤い唐辛子のような飾りがあった

(何だろう?)

それに触れてみると、その唐辛子のような形をした物には顔が描いてあって白い綿のようなものが付いていた。

「エスイストゥ ツーァ ヴァイナハテン フェアリー(それはクリスマスの妖精よ)」
「あっ、ヴァイナハテン…フェアリー?」

そう言われて、もうちょっとよく見てみると、それは唐辛子ではなく赤い身体に白い綿の…。

その形はいわゆる日本で言う所の”サンタクロース”のようなカンジだった。

「マダム…ヴァス サンタクロース ダス?(マダム、これはサンタクロースですか?)」

僕がそう聞くと、おばさんは『エスイストゥ ダミットゥ サーゲン(そうとも言うわね)』と答えてくれた。



色々とお話をしてお茶をご馳走になり、そろそろくるみちゃんを迎えに行く時間になった所でお開きという事になった。

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