《MUMEI》

.

すると、剛史は、


「ゴメン」


強張った声で、呟いた。


「俺、うまく話、出来なくて、ふたりでいると緊張して間が持たなくて、つい、そーいうコトばっかりしちゃって…鼎が不安に思ってるなんて、全然気づかなかった」


ごめんな…と、寂しそうに呟く。

わたしは彼の腕にしがみつく。指が小さく震え出すのがわかった。

剛史は、切ない声で、続けた。


「わかりにくいと思うけど、俺は、鼎が思ってる以上に、鼎のこと、大切に思ってるよ」


その台詞だけで、充分だった。


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