《MUMEI》 お言葉に甘えて. わたしは剛史の身体を抱きしめ返すと、大声で泣きはじめた。愛に飢えた、小さな子供のように、わんわんと、ただ泣きじゃくる。 ………ありがとう、 もう、充分だよ。 ちゃんと、思ってて、くれたんだね。 ありがとう、剛史。 ****** わたしが泣き止んだあと、再び沈黙が訪れた。 剛史はわたしから少し離れて、ぼんやりしている。 そんな彼氏をよそに、わたしはいつものように、さっさと服を脱ぎはじめた。 それを見て、剛史はヘンな顔をする。 「なに、脱いでんの?」 尋ねてきた剛史に、わたしは首を傾げた。 「ヤらないの?」 ここは剛史の部屋。 ふたりきりの、空間。 いつもなら、すぐエッチになだれ込む。 それが、日常。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |