《MUMEI》

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息苦しさに涙目になりながら、わたしは伊達さんを見る。


「いきなし、なに言い出すかと思えば…」


そんなのありえませんよ、と続けるまえに、


「ずっと、気にかかってたのよ」


と、伊達さんが固い声で遮った。



………え??



わたしはひとつ、大きく咳ばらいをして、伊達さんの顔をまっすぐ見つめる。

彼女は今までになく、真剣な顔をして、続けた。


「廉が、お友達を仕事場まで連れて来たのは、あなたが初めてなの」


その抑揚には、不安の色がちらちらと垣間見えて、わたしは表情を引き締めた。


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