《MUMEI》

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伊達さんは俯き、ため息をつく。


「あの子、プライベートと仕事ははっきり分けてるから、そういうことは一切なかった。ご家族だって、楽屋に連れて行ったこともないのよ」



………廉の性格上、

あれだけ、『庶民』とバカにしているくらいだから、ただのクラスメートを仕事場に呼ぶことがない、というのは、なんとなく想像が出来たけれど、

まさか、家族すら立ち会うことをさせてないなんて、意外だった。



黙り込むわたしをよそに、彼女はコーヒーを一口飲んで、言う。


「だから、初めて廉があなたを連れて来たとき、『まさか』と思ったの。しかも、女の子でしょう?これは、フツーじゃないなって」


わたしは曖昧に、はぁ…と頷く。


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