《MUMEI》
幸せ
    〜歩視点〜


いきなり立ち上がり歩き出した麗羅チャンの背中を小走りで追いかける北川 真星。


「麗羅トイレ〜?なら私も行く」


北川 真星の言葉に不本意だがホッとした。


麗羅チャンにまた不快な思いをさせてしまったのかと一瞬不安になってしまったから。


教室から出て行く麗羅チャンと北川 真星の背中を見届けて自分の席に戻る。


席に着くと泉がイタズラっぽい笑顔で話しかけてきた。


「歩、幸せそうだね」


泉の言葉に堪えていた笑顔が零れる。


「堪えてたのに、泉が変なこと言うから〜我慢出来なくなっちゃったじゃん」


俺は、これでもかと言う程の笑顔を浮かべながら答える。


「えっ泉のせい?


ってか、笑顔全然堪えられてなかったけど」


泉は、あれで我慢してたんだっと付け加え、俺の腕を叩きながら可笑しそうに笑う。


「あれでって何だよ!」


そうツッコミながらも俺は笑顔のままだった。


麗羅チャンに貰った包みを見て、また満面の笑みを浮かべる。


麗羅チャンが俺の為に作ってくれた・・・・・


んっ?そういえば中身なんなんだろう?


開けたいけど・・・麗羅チャン家に帰って温めて食べてって言ってたからな〜。


開けたら食べたくなっちゃうし・・・。


中身が気になったが、俺は包みを鞄にしまうことにした。


楽しみは後にとっておこう!!


鼻歌を歌いながら、麗羅チャンに貰った包みが潰れてしまわないよう丁寧に鞄にしまい、鞄を机の横にかける。


その後もホームルームが始まるまで、俺はだらしない程の笑顔を浮かべながら、泉と他愛のない話をしていた。

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