《MUMEI》 ヒーロー「こいつか」 「そうだな」 腕に覚えのありそうな男が4人。手には写りの悪い写真。 「何か?」 リアシッラが尋ねると、いかにもリーダ格、初老の男が口を開いた。 「ベルカさん、頼まれごとでね。ちょっとついて来てくれねェか」 「嫌だな」 どこの誰かは知らないが、企業の代表をしている以上、恨まれたり妬まれたりは慣れている。これまで自分ひとりで切り抜いてきた。 ただ今は、身の危険よりも、一悶着あればさすがのウェルカも現れるだろうという期待が先に立った。雇用からはや半月、遂に元軍兵の腕の見せどころである。 「護衛も連れないで、無用心な社長さんですな。事務所に連れてきゃいいんだっけ?」 恰幅のいい男が一歩進み出た。他の3人とは違う目。鼻息の荒さに、リアシッラは心底嫌悪する。 「別に無傷じゃなくてもいいってんならさァ、先に」 ゴキン。 突然岩石の砕けるような音がして、男が後ろに吹き飛んだ。 「なッ」 仲間がたじろぐ。 「動くな」 ぴんと空気を引っ張るような、鋭い声。気配を察知する間もなく、初老の男の首筋に、ウェルカが短刀を宛てていた。 誰もが息をのんだ。 前へ |次へ |
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