《MUMEI》
アグレッシブ3
空気が止まった。

リアシッラは何を言われたのか理解できず、目を見開いた。

「代表、お控えください」
堪らずステルの秘書が口を出した。

「何でだよ」
「契約の話しを」

容姿のことだ。
飲み込んだ瞬間、かっと体が熱くなった。秘書が割って入らなければ、どんな悪態で応酬していたか。

リアシッラにとって、女のような顔立ちは、仕事の障害であり、コンプレックス以外の何でもない。それをステルが見抜いたのかはわからないが、これ以上ない屈辱であった。

「そこらのお嬢さんと話してるみたいだよな。お前も思うだろ」
「代表」

「それで仕事貰ってたりしてな。寂れた爺さん方とさ」

秘書が声を荒げる。リアシッラが拳を握るのよりも早く、視界の端で人影が動いた。

「ウェルカ!!」

ぐしゃりと嫌な音がして、ステルは椅子ごと後ろに倒れた。

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