《MUMEI》 . いつも、面倒に思ってた。 なんでわたしなんかに、構ってくるのか。 もっと、他のコに付き纏った方が、 アイツが望む、たくさんの言葉を、 いとも簡単に、 投げかけて貰えるはずなのに。 わたしはゆっくり足を止め、テレビ局を見上げた。 近代的でデザイン性のある、そのビルは、 どこか無機質で、冷たくて、 フツーの生活をしているわたしのことすべてを、 拒絶しているように思えた。 −−−この中に、廉がいる。 たくさんのひとたちのために、そのきれいな笑顔を振り撒いて。 その、ゴリッパな『立場』とやらを、誇りに思って。 わたしは一度、瞬いた。 ………構わないよ。 廉と離れても、 わたしは、なにも変わらないし。 なに、ひとつ。 わたしは顔を背けて正面を見た。そのまま、一歩、踏み出す。 廉がいる場所とは、全く違う方へ、と。 ****** 前へ |次へ |
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