《MUMEI》 . 「…で?わたしになにか?」 ひと気のない学校の裏庭に着くなり、わたしは仲元くんに前置きもなく聞いた。 仲元くんは、また笑って、朗らかに言う。 「急に、ゴメンね。こんなとこに連れて来て」 詫びる彼を見つめながら、そんなことを思ってるなら、最初から面倒かけるなよ、と心の中で毒づく。 わたしは頭をかきながら、それはどーでもいいよ、と冷たくあしらう。 「用件あるならさっさと済ませて。回りくどいのイヤなんだよね」 わたしがそう言うと、仲元くんは、そうだな、と頷き、 それから、いきなり言った。 「宇佐美さんのことすきなんだ。俺と付き合って」 突然、言われたので、わたしはぽかんとした。 . 前へ |次へ |
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