《MUMEI》
「おい、お前ら。」
男が話しかける。背丈は180くらいだろうか。オレたちよりも少し高い。
「どうかしたか?ああ、サインか。すまんが事務所に止められててな。」
「…ふざけるなよ。ガキが。」
そう言って後ろ手にしていた右手を出す。そこには鏡面のように光る金属、コンバットナイフが握られていた。
「ひっ!」
リンが悲鳴をもらす。車内に居させて正解ってところか。
「金、食料、車。全て置いてここから消えろ。違う選択肢を選びたいんなら、自分の身体が刺身になるところを見せてやる。」
ナイフの刃先を向け、脅してきた。刃渡りは30cmほどある、なたに近いナイフである
「……そう、そうくるか…」
オレは落ち着きはらい、考える。こういうのは相手もオレたちの力量をはかっている。弱みを見せるとすぐ攻撃してくるのだ。
「やっちまいましょうぜ、グチさん。こいつら、むかつくっす。」
「へへ、女もいるじゃん。こいつは面白いことになりそうだな。」
後ろにいた残りの男たちもやってくる。どうやら最初に脅してきた男がリーダーらしい。二人ともリーダーの男ほどではないが、それなりに大振りのナイフを装備している。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
便利サイト検索へ
携帯小説の
(C)無銘文庫