《MUMEI》

「悪いねあんま来れなくて、


それなりに忙しい身でさ。


うん…


何か…


話すこといっぱいあんだ。


学校辞めたこととか、


プロ目指すことにしたこととか、


そうそう。


美紀と付き合いはじめたことも教えてなかったね。


うん…


いっぱい話したいことあんだけど、


今日1番の報告はさ、


明日…


勝ってくるって話。


うん。


高総体始まんだ。


僕とヤマさ、


それにこいつらも、


全校生徒の前で優勝するって言っちゃった。


はは。


安本さんめっちゃ青ざめてんの。


美紀も機材持って逃げててさ。


超おもしろかったよ。


うん、


だからさ?


今日はお前にも約束しに来た。


絶対…


優勝する。」



「そうすよ翔太さん!!」


「俺ナンバーワンセンターになって来ますから!!」


「俺も恭介さんのお姉さんとのちゅ〜がかかってるんで!!」


「俺もっす。」


「頂点取ります。」


「…勝ちますから。」



「…だってさ。


生意気だけどそれなりに頼もしいじゃん。


まぁそんなわけで、


今日は前夜祭な。


コレ、


コンビニの安い酒だけど我慢して。


一緒に飲みたいけど運転あるから僕はジュースだわ。


あと、


コレ。


花火買ってきた。


こんなとこで花火ってすげ〜不謹慎だけど、


ど〜してもお前とやりたかったから。」






























その日、


夕方から墓地で花火をするバカな青年たちの姿が見えた。


楽しそうに楽しそうに。


決戦前夜。


彼らは約束をした。


最後まで自分たちの成長を見届けてくれることのできなかった、


コーチとの約束を。



























「んじゃ…
そろそろ行くね?
明日早いんだわ。」



「次は優勝報告しに来ますから!!」



























バタンッ…




























『約束っすよ?』


























決戦は明日である。

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