《MUMEI》

「俺はね、王子にはなれないけど夜なんだって……リサさんによく言われてた。」

内館が七杯目を飲み干した。


「夜?」

内館なら真昼では……。


「ナイトだろ?騎士のことじゃないか?」

美作の独り言で納得した。


「確かに、リサさんはお姫様だったな……」

ブロンドの髪を揺らして儚げに笑っていた、社長も日本人離れの整った顔立ちで若い頃は七生からリサさんの柔らかさを抜いてを凛々しくしたようなかんじなのだろう。


「今考えたら、王子ってアンタ?美化されてら!」

内館、酒入って余計に五月蝿くなってる。
まあ、今見たら社長は社長だからね……でも女の子ってそういうとこあるかも、好きな人を考えて、王子様の夢とか見るんだろうな。


「分からないでもないって……気品があるし。王子だよ。」

内館が野人だからな。


「木下さん……好きだ。」

社長が七生ばりに全力で笑ってる。
凡人には出せないものだ、眩しい……。


「木下君、俺はどう?王子?」

顔を首を無理に美作が向かせてきて、変な音がした。


「美作は殿。」

この横暴は殿だ。


「正解です、木下君。」

美作、酔っ払ってるな。

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