《MUMEI》

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………そういえば、

このまえ、由紀がなにか言いかけてたけど、

廉に邪魔されて、聞けなかったんだよね。

一体、なんだったんだろう??



ぼんやりと考え込むわたしを見つめ、晃は首を傾けて、


「仁菜は、他人のことに鈍感すぎ。もうちょっと、視野広げて見てみなよ」


などと、突然、あやふやなことを言った。

晃がなんのことを言っているのかわからなかったけど、その言葉にははっきりと、わたしを非難する気持ちが込められていることを感じ取って、わたしはムッとする。

わたしは、あーハイハイ!とテキトーに受け流す。


「わかった、わかった!わたしがニブいのね!悪うございましたぁ!」


またも投げやりに言うと、晃は呆れたのか、まったくもー!と苛立たしげに声をあげたが、

そこで、ちょうど予鈴が鳴った。


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