《MUMEI》
私服姿
.

わたしは無機質な鐘の音を聞きながら、晃をジロッと睨む。


「…授業、始まるよ。席、着いたら?」


冷たく突き放すと、彼はなにか言いたそうな顔をしたが、諦めるように深いため息をつくと、わたしの席から離れて行った。

晃が自分の席に座るのを見ながら、

わたしは込み上げてくるナゾのイライラを、消化出来ずにいた。





******





−−−日曜日。


わたしは、仲元くんと約束した時間に、駅前へ向かった。

一応、『デート』という話だったので、なにを着て行こうかと悩んだものの、


グレーのラウンドネックのTシャツに、アイボリーのショートパンツに映える、黒い革のベルトを合わせ、足元はトレンカと、ベージュのエナメルのパンプスという、結局、テキトーな格好にした。



………わたしが気張るのも、

なんか癪だしねッ!!



そんなことを考えながら、ようやく駅前にたどり着いた。


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