《MUMEI》

マロージャーは律斗の部屋に放り込んでおいた。
二郎と俺の間に律斗はいつも寝ている……けど、今日は入れてもらおう。

「ちょっ、せま……」

二郎が落ちそうになっているので抱きしめて、律斗を起こさないように耳元でシィと制した。

触るとよく分かるのだが、まだあと5キロは二郎を増やしたいな……目を離すと窶れるから周りにはよく食わせてやれと言われていた。

まあ、今は俺ががつがつ食うから一緒になって食べてくれるんだけど。
受験のときは胃腸壊して大変だった。


「なに笑ってるのやらしいな……」

不審がられた。


「ンー、しゃーわせー」

耳の裏に鼻先を当てる。
二郎の体臭の甘さは一種のフェロモンに近いのだろうか、確認してみた。
夢にまで見た、いちゃいちゃ……しあわせだ。
夢にまでってか、夢か?












「夢だった……」

マロージャーの加齢臭がした。


「け、けだもの!」

起こしちゃったか……すまん。
マロージャー、涙目だし。
勿論、俺もだ。
そして吐きそう。

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