《MUMEI》

そう。


簡単に言ってしまえば赤高は相手を舐めていたのだ。


選手層も薄く、


今日2戦目という西条の選手たちの体力はギリギリであった。


最初の2点は間違いなく赤高の実力。


もちろん彼らは厳しい練習を乗り越えただけあって、


実力もかなり上がっている。


しかし、


思い上がってしまった。


会場の雰囲気。


自分たちの成長。


負けるわけがない。


その慢りが赤高本来の力を制限する。


対象的に西条は、


スタミナこそ切れているものの、


気持ちは切れていない。


必死に食らい付くその姿勢が、


実力差を埋める。


赤高は実力で上回りながらも、


気持ちという点で負けていた。


その証拠に、


赤高は前半終盤からは声が出ていなかった。


また、


速攻の場面で行わなければならないカバーも、


誰1人として行っていなかった。


チャージを取られたユキヒロの突破も、


相手を舐めているが故にスピードを乗せなかった結果である。














「つまりさ、


お前らはまだまだガキってこと。


調子に乗っちゃったんだね。


ガキだから。」



「ぐっ…」



「まぁこのままやってもごり押しで十分勝てるんだけどさ、


明日の3回戦はぶっちゃけ厳しい。


この試合での意識改革が必要だね。」



「意識改革?」



「そ。


今は僕が言ったこと。


たぶん理解したようでしてないんだよ。


だからさ。


見てろ。」



「え?」



「1年生とお前らの違いを。」

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