《MUMEI》 . 脳裏に、廉の凛々しい姿がぼんやり浮かぶ。 そう答えたのは、たぶん、 廉や、カメラマンの松前さんや、他のスタッフたちが身を置く、 あの、眩しい世界に、ちょっとだけ近づけるような気がしたからだ。 ………なんて、 バッカみたい。 伊達さんに、『関わるな』って言われたばかりなのにさ。 ずいぶん、夢見がちだよなぁ。 このまえ、伊達さんとお話したことを思い出し、少し気分が沈んでしまった。 仲元くんは、そっか、と呟くと、わたしが持っていたカメラを取り上げ、時計と一緒に抱えると、そのままスタスタとレジへ向かう。 わたしはビックリして彼の後を追う。 . 前へ |次へ |
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