《MUMEI》
気づいたこと
.

しかし、仲元くんはスイスイと人混みをぬって進んでしまい、到底追いつけなかった。


「ちょっと、仲元くん!」


声を荒げて彼を呼ぶと、

彼はゆっくり振り返った。

そして、わたしの目を見つめて、


「プレゼントするよ。初デート記念ってことで」


照れる様子もなく、そう言うと、ニコッと笑った。



………『初デート記念』って、

モノ買ってもらう義理なんてないのにッ!!



わたしは慌てて、駆け寄ろうとするが間に合わず、仲元くんはレジ係に時計とカメラを手渡してしまった。

わたしは呆然としてしまう。


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