《MUMEI》

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………なんとなく気づいてたけど、

仲元くんって、かなり強引。

ひとの話、あんまり聞かないし、

自分が思うように物事をすすめて、

なんか、

ほっとけなくて、気が気じゃない…。



そこまで考えて、わたしはハッとした。

記憶の彼方から、ひとつの顔が蘇ってくる。



−−−それは、シニカルに唇を歪めて笑う、

『あのひと』の顔。



『あのひと』は、いつも自分勝手で、

強引で、わがままで、

傍にいたわたしのことなんか、全然思いやってなんかくれなかった。



………もしかしたら、仲元くんは、

『あのひと』に、似てる?


だからわたしは、

冷たく突き放すことが、出来ないの?



自分に問い掛けながら、わたしはただぼんやりと、レジカウンターにたたずむ仲元くんの後ろ姿を見つめていた。





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