《MUMEI》
霊前報告
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―――…その頃。



遠く離れた北海道……闇夜に吹雪が荒れ狂う苫小牧の地で――…。



貧困の極みにあることを窺わせる、みすぼらしく傾きかけた家があった。



戸板の隙間から寒風が吹き込んでくる家屋の奥には…



初老に手が届きそうな、二人の男達が小さなラジオを挟んで座っていた…。



そのラジオからは、底引き網漁船・第8バイキン丸が、無人の状態で奥尻島に漂着したというニュースが報じられている。



待ちわびた一報を確かめると、男達は亡き兄の遺影の前で眼を閉じ、静かに両手を合わせた――…。

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