《MUMEI》

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店内にいた、お客さんのほとんどは、

先程から始まった、『LE FOU』のゲリラライブを見るため、出て行ってしまった。

わたしと仲元くんは、

彼らのように慌てて席を立つことなく、

なにもなかったかのように、淡々と食事をとり、

いたってフツーにお店から出た。


一歩、外に出ると、

賑やかな歓声と、喧しい音楽と、

『LE FOU』のメンバーたちの、

よく透る歌声で満たされていた。


ごった返す人々をかきわけながら、わたしたちは、そのステージをすり抜ける。


その間、なるべく、なにも聞かないように心掛けた。



ちょっとでも気をゆるせば、


ライブを包む、異様な熱気と興奮の渦に、


飲み込まれてしまいそうだったから。



「すっげーひとだな〜」


わたしの傍らで、仲元くんがぼんやりと呟いたのが聞こえた。


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