《MUMEI》

.

心臓が、破裂しそうなくらい、烈しく脈打ち、

背中に、嫌な感じの汗が滲んだ。



………まさか。



そう、思いたかった。

声は続く。


「ライブやってんの?だれ??有名人??」



………まさか、

まさか、まさか、まさか。


そんなはずは…

そんな、ことって…



本当は、振り向きたくなかった。

でも、その声の主がだれであるのか、

確認したくて、しかたなかった。



わたしは、ゆっくりと、振り返る。

あまりの緊張で、顔が強張るのを感じた。

バクバクと、脈打つ鼓動が、煩わしい。


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