《MUMEI》

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わたしが、完全に、振り返った、

その瞬間、

再び、男が、口を開いた。


「え?アレ、『LE FOU』のライブなの??」


そう言って、忌ま忌ましそうに舌打ちをする。


「なんだよ、ヤローかよ!つまんねー!!」


その台詞を耳にしたのと、

わたしが、その男の顔を見たのは、ほぼ同時だった。


わたしと仲元くんがいる場所から、ほんの少しだけ離れたところで、

ガラの悪そうな数人の男たちが、廉のステージの方を見つめていた。



その、中央にいる男に、くぎづけになる。



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