《MUMEI》 . ミリタリー風のオーバーサイズのパーカーに、腰履きしたダボダボのデニム。足元はゴツめのスニーカー。 金と黒に彩られたアシンメトリーな髪から覗く、その双眸には、苛立ちと欝陶しさが入り混じっていた。 −−−あの目。 昔、見たことのある、あの目の色。 そして、 あの言葉。 『つまんねーオンナ!』 あの頃と、なんら変わらない、その抑揚。 男を見つめたまま、 わたしは、目を大きく見開いた。 「武田先輩…」 気づけば、 かつて、付き合っていた、 『あのひと』の名を、呆然と呟いていた。 ****** 前へ |次へ |
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