《MUMEI》

瞬間…


会場は彼らのプレーに騒然する。


素早いパス回し、


見たこともないフォーメーションにただ驚くばかりであった。


そのプレーを実際に見たことのあった西条高校の選手たちも、


突然仕掛けられたその攻撃にたじろいでしまった。


そう。


赤高2・3年軍。


彼らの選んだプレーは、













(マッハクロス…)














「関谷さんッ!!」



「おけ!!峰田ッ!!」



「おぅ!!」



キュキュッ!!



「切れッ!!」



「ユキッ!!」



「おぅッ!!」



「峰田さん足止めないで!!」



キュキュッ!!













この時点で、


西条監督星野はミスを犯していた。


すぐに指示を出さなければならないこの場面で、


彼女はこのフォーメーションの形を分析しようとしていた。


が、


マッハクロスに決められた形はない。


高速パス回しからのハーフコートでのランパス速攻。


それがマッハクロス。


最初の数プレー以外は選手たちのアドリブであるこのフォーメーションは、


まさに自由な攻め。


誰がシュートを打つか?


それすらも答えはない。


海南高校との試合時に見せたこのプレーも、


観客席から見るのと実際に見るのとではあまりにも違いすぎる。


残念ながら、


西条高校にこのプレーを止めるすべはなく、













「ナイッシューッ!!!!!」













無理のないユキヒロの突破に得点を許す。



18対11。

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