《MUMEI》

「はぁ…はぁ…」



赤高の手は休まらない。


ディフェンスはオールコートマンツー。


守るとすぐに速攻。


マッハクロス。


このプレーに付いていく西条の疲労は大きい。


絶えず足が動き、


プレーが止まらない。


選手たちの動きが悪くなっていくのは、


誰の目にも明らかだった。


後半22分。



スコアは28対11。



























(…やられた。)



最初に落胆したのは監督星野。


スタミナの過ぎた選手たち。


だが、


西条には代わりの選手がベンチにいない。



『選手層の薄さ』



星野はそれを嘆いた。













ぽろっ…













「先生…?」



「え…」



「どうして泣いてるんですか…?」



西条ベンチ。


星野の涙に、


マネージャーが気付いた。


「…わかんない。」














本当はわかっていた。













コートに立つ選手たちに、


残り時間を戦い抜くスタミナが残っていないのは誰の目から見ても明らかだった。


それなのに、













それなのに…













(何であんたたちはまだ走ってるの…?)














17、


18、


19...














赤高の攻撃展開は早く、


点差はどんどん離れていく。


だが、


彼らは手を休めない。


相手がスタミナ切れを起こしていようとも、


そこに情けはない。














後半24分。



30対11。

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