《MUMEI》
ムカシバナシ
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【武田 雅樹】





それが、『あのひと』の名前だった。



初めて彼と出会ったのは、わたしがまだ中学1年生だった頃。

武田先輩は同じ中学の、3年生だった。



まだ入学して間もなく、

新生活に期待と不安が半分ずつ入り混じっていた、そんなある日、

放課後の、グラウンドの水飲み場で、

数名の男子生徒と、ふざけてはしゃいでいる武田先輩を見かけ、

わたしは、一瞬で、恋に落ちた。
一目惚れだった。


武田先輩は見た目もハデでケンカっ早く、

学校でも有名な不良なのだと、友達から聞いた。


そのあとも、彼に関しては良くない噂ばかりを耳にした。


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