《MUMEI》

.

すっかり怯えたわたしは、仲元くんの顔を見ないまま、ごめん!とだけ言って、その場から逃げるように駆け出した。



………ヤダヤダ、

ヤダな…。

武田先輩、わたしのこと、気づいたかも。

どうしよう。

もう、終わったことなのに。



『つまんねーオンナ!』



あの台詞が、

あの声が、

どこまでも、どこまでも、

わたしのあとを追いかけてくる………。



わたしはまっすぐまえを見つめたまま、

ひたすらに駅を目指して、

賑わう日曜日の街中を駆け抜けた。





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