《MUMEI》 . わたしの返事に、由紀は顔をしかめる。 「…仲元に告られたの?また『オトモダチ』かよ?」 面白くなさそうに言った彼に、 わたしは冷たい一瞥を与える。 「そんなの、由紀に関係ないじゃん」 突き放すように答えると、由紀は不機嫌そうに黙り込んだ。 そのとき、 「仁菜!」 晃がわたしを呼んだ。 わたしと由紀が振り返ると、そこに晃と、 仲元くんがいた。 仲元くんは、爽やかに笑いながら、晃と一緒に教室へ入ってきて、わたしの席までやって来た。自然と由紀は、わたしの席から少し離れ、晃の横に並ぶ。 「具合、どう?」 心配そうに尋ねる仲元くんに、わたしは、もう平気、とだけ答えると、彼は、よかった、と屈託なく笑う。 . 前へ |次へ |
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