《MUMEI》

.

由紀は、そのまま静かにつづけた。


「仲元と、ちゃんと付き合うワケ?」


わたしはゆるりと瞬いた。

まさか、と答える。


「仲元くんは、『オトモダチ』だもん。ただそれだけ」


『オトモダチ』は、『オトモダチ』。

それ以上でも、それ以下でもない。


そう告げたわたしから、由紀はゆっくり目を逸らして俯いた。長い前髪が、彼の双眸を隠す。

しばらく黙り込んだあと、

由紀は、あっそ、と冷たく吐き捨てて、


とても低い声で、呟いた。



「お前には、付き合いきれない」



………え?



わたしは、目を丸くする。

言葉が出て来なかった。


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