《MUMEI》 . 呆然とするわたしをよそに、由紀は晃に、行くぞ、と声をかけ、わたしから離れるように促す。 晃は戸惑いながらも由紀に頷き、ゆっくりとわたしの席から遠退いていった。 由紀も、晃のあとを数歩追って、それからふと、なにかを思い出したようにわたしへ向き直った。 −−−目が、合う。 それは、今まで見たことないくらい、冷ややかなモノだった。 由紀は、わたしと見つめ合ったまま、シニカルに唇を歪ませる。 「まえに、お前、俺に言ったよな?一度でも、オンナと真剣に向かい合ったこと、あるのか…って」 それは、まえに昇降口で、由紀とケンカしたとき、 わたしが彼に突き付けた台詞だ。 . 前へ |次へ |
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