《MUMEI》 . わたしは微かに頷く。 それを見て、由紀は、物静かな声で、言った。 「その台詞、今、お前に、そっくりそのまま、返してやるよ」 言い捨てるなり、由紀はわたしから目を逸らして、わたしに背を向けた。 彼は、わたしを振り返ることもなく、 どんどん、遠くへ行ってしまう…。 離れていく彼の背中を目で追いかけながら、わたしは胸の奥に鈍い痛みが生まれるのを感じていた。 その痛みがなんなのか、わたしには到底、分からなかった。 ****** 前へ |次へ |
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