《MUMEI》

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わたしは微かに頷く。

それを見て、由紀は、物静かな声で、言った。


「その台詞、今、お前に、そっくりそのまま、返してやるよ」


言い捨てるなり、由紀はわたしから目を逸らして、わたしに背を向けた。



彼は、わたしを振り返ることもなく、

どんどん、遠くへ行ってしまう…。



離れていく彼の背中を目で追いかけながら、わたしは胸の奥に鈍い痛みが生まれるのを感じていた。

その痛みがなんなのか、わたしには到底、分からなかった。





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