《MUMEI》
日の神さん
近くにスサノオ神社がある事から、日の神さんは天照大神だろうと思うのですが、なにせ今となっては日ノ神と彫られた苔だらけの石碑しかないので、さっぱり分かりません。

ただ、村人達からは今も「日の神さん」と崇められ、墓地化した現在も、墓と沼しかないこの山に何をするでもなく訪れる人が沢山います。

ここから下は、信じるも信じないも貴方次第です。

ただ、実は……

神隠しの場所があります。

大抵の人は、大人になるまでに忘れて、覚えている人は少ないのですが、私は覚えてます。

もう行けませんが…。

沼よりもさらに奥の方は木々が生い茂り向こうが見えません。突き当たりに見えます。

身体の小さい子供がなんとかギリギリ進める程度。

木々やツルで生い茂ったそこは毒蛇や毒蜘蛛、蛙などがウヨウヨといます。

そこを何とか突破すると…

急に木々の生えない草地に出ます。
周りと空は木々でおおわれ見えません。気漏れ日だけの薄暗い場所。

毒蜘蛛も毒ヘビも、そこだけはいないのです。

私の推測ですが、もしかしたら、日の神さんは天照大神ではなく、その気漏れ日の日の神だと思います。

薄暗いんですが、
本当はもっと暗いはずなのです。
それを気漏れ日が警告のように、そこだけ照らしてくれているんですよ。

もっと奥に行けるのですが、そこに辿り着いた子供は皆、気漏れ日を見てUターンして帰ってきます。

だって、さらに奥には行っちゃいけないというか、真っ暗だし、迷子になるというか……
本能的に「ヤバい。ここで帰らなきゃ」って皆思うわけで……。

今思えば、最後の最後で、闇の入口を日の神さんが照らし見せてくれてるような感じでした。

この場所に辿り着く子は少ないらしい。

実際はただの森なんですがね…

もう一度あの場所に行きたいと何度かトライしましたが、中学1年を最後に諦めました。

だから、神隠しの場所なんだなぁ〜っと……
昔からある沼地だから、何百年も前に子供が行方不明になったとか、ね。

あー…これを思い出していた時に雨が降ってきたんだけど、狐の嫁入りかな?

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