《MUMEI》
分かち合いたい《だれか》
.


………だれでもいい。

お願いだから、

傍にいて。



わたしを、


ひとりにしないで−−−。





空に向かって、そんなことを祈った。






………もしかしたら、



その想いが、



届いたのかも、しれなかった。





背後で、

カタン…と、微かに、軽い物音がした。





不思議に思い、顔から腕をどけようと動かす。

それとほぼ同時に、


微かに開けたわたしの視界に、ぼんやりと、淡い影がさす。



わたしの腕が、《だれか》につかまれる。



《だれか》は、わたしの顔から、ゆっくり腕をどけていく。



抵抗は、しなかった。

その必要はないと、思った。



.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫