《MUMEI》

「出た、美作……!」

内館が指差して爆笑した。


「な、なにをしてるんだ!」

初見の社長は驚いてる。


「見たら分からない?キスだよキス。」

美作は酔うとキス魔になる。


「……っよく、許してるね木下さん!」


「あ、いや……」

許すもなにも、美作が勝手に始めるというか。


「したい?」

美作が社長に投げキッスをしたが、首を横に振る。


「美作はこうなるから極力飲ませたくなかったんだよな……」


「いつもこんななんですか……心配だ!」

社長が俺と美作の間に割り込む。


「学生ノリが抜けないだけですって。」

お互い妻子持ちだし、美作なんて愛妻家でしょっちゅう夫婦で旅行している。


「いや、木下には立派な嫁さん居るから無理無理無理無理!」

内館のその理由だと俺の意志が弱そうに聞こえる。


「そう、最強の嫁ね。」

何故、母さんが最強……?美作のニュアンスだと昔になにかあったのか?

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