《MUMEI》 . わたしの、冷めきった声を聞いた廉は、意味が分からないのか、眉をひそめた。 …なにそれ?と、低い声で唸る。 「『満足』って、どういうイミだよ?」 刺を含む抑揚で、そう言った。 わたしは不機嫌そうな廉を見据え、静かな声でつづける。 「わたしが『カッコイイ』って言えば、アンタは、それで気が済むんでしょ?」 −−−廉がわたしに付き纏っていた理由。 それは、わたしが廉のことを、他のみんなみたいに、『カッコイイ』とか、『すごい』とか、褒めたたえないから。 そんな傲慢な廉に反発して、わたしもムキになっていたけれど、 落ち着いて考えてみれば、 わたしが、彼が望む言葉を与えてあげるだけで、 済んでしまうようなことだ。 . 前へ |次へ |
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