《MUMEI》

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………これで、終わり。

全部、終わった。



そう自分に言い聞かせ、わたしは、きつく目を伏せた。


そのときだった。


いきなり、廉に腕をつかまれて、力任せに、ぐいっと引っ張られる。

わたしはビックリして、彼を振り返った。



そして、



−−−目を見張る。



すぐ目の前に、お互いの息がかかるほど近くに、

廉の顔が、あった。



先程の、悲しげな表情とは一転し、

彼は、燃えるような烈しい目つきで、

わたしを、睨みつけてきた。



そして、



「ふざけんな」



怒鳴るでもなく、喚くでもなく、

ただ、静かな声で唸るように言ったのだ。


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