《MUMEI》
逆上
.

「なに勝手に完結させてんだよ。いい加減にしろ」


低い、低い声音。

静かすぎる、抑揚。

廉が本気で怒っているのがわかった。


内に秘める、その烈しい感情を目の当たりにして、わたしは、一瞬、怯む。


廉は睨んだまま、つづけた。


「だいたい『関わるな』ってなんだよ?このまえはそんなこと、言ってなかったじゃん」


吐き捨てられた台詞に、わたしはカチンとくる。


「だって、伊達さんが…」


つい、言いかけてしまってから、慌てて口をつぐんだ。

伊達さんから『廉に関わるな』と言われたから、なんて言い訳、カッコ悪すぎる。


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