《MUMEI》 . その、一瞬の隙を、廉は見逃さず、 ギロリと冷たい一瞥を与えた。 「…部外者は引っ込んでな」 ドスの効いた声で唸った廉に、仲元くんは怯んだようだったが、 果敢にも、廉に噛み付くように言い返した。 「宇佐美さんになんの用だよッ!!」 「お前に関係ねーだろッ!」 「うるせーな!!とにかく離れろッ!!」 「ふざけんなよ!!口挟むなッ!!」 繰り返される、罵声の応酬。 ふたりとも、完全に頭に血が上っていて、うろたえるわたしの姿など、目に映らないようだった。 . 前へ |次へ |
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