《MUMEI》 . 仲元くんに促され、わたしは廉に背を向け、彼の後ろを歩き始める。 その背中に、 「待てよ!」 苛立った廉の声が飛んできた。 わたしは足を止める。 そうして、肩越しに、ゆっくり振り返った。 焦燥がうつる廉の顔を見て、 わたしは、ゆったり、ほほ笑む。 「バイバイ、アイドルさん」 唄うように呟くと、わたしはすぐに廉から目を離し、仲元くんの腕を引っ張って、早足でまえに進む。 背後から、 「俺は納得してねーからなッ!!そんなテキトーな言葉、絶対認めない!!」 早口にわめき立てる廉の声が届いたけれど、 わたしは、振り返ることを、しなかった。 ****** 前へ |次へ |
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