《MUMEI》

.

必死に大通りを走りながら、わたしは、も゙〜〜!!と、癇癪を起こす。


「ツイてない!!サイアクッ!」


毒づきつつも、ひたすら走る。本気で遅刻しそうだったから。

慌てすぎて、周りに気を配る余裕もなかった。



−−−だからこそ、

『彼』に、出会えたのだ。



大通り沿いにある、一番手前の角を曲がれば、学校は目と鼻の先だ。スパートをかければ、遅刻はまぬがれる。

猛スピードで通りを抜けると、そのままの勢いで、わたしは角を曲がった。



すると。



−−−ドンッ!



「ギャッ!!」



出会い頭に《なにか》とぶつかって、短い悲鳴をあげる。

小柄なわたしは、その、《なにか》に弾かれてしまい、地面に尻餅をつく。思い切り腰を打った。

途端に、わたしが持っていたレポート用紙が、ヒラヒラと空に舞い上がる。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫