《MUMEI》
エアー、動く
「…で、これがその手土産?」

「うん」


クーが取り出したワインボトルを、ネオンが覗き込んだ。


「じゃあ、アルゴン味見」

「出来るかぁ!」

「わかってるわよ。こんなうるさい植物いないし」


キセノンは、大げさに耳を塞ぎ、顔をしかめた。


そんな中、エアーは


「…どうしたの? エアー」


そんなに見つめられると、照れる


クーが困るほど、エアーはクーの方をじっと見つめていた。


の、だが


「クーちゃん。エアーちゃんが気になるのは、…こっち、みたいよ」

「え?」


ネオンがワインボトルを指差し、苦笑する。


エアーは、その言葉に何度も頷いた。


その瞳は、いつも以上にキラキラと輝いていて


「持って、みる?」


クーがそう提案すると


エアーは何度も頷き、ワインボトルのコルク部分に手をかけた。


コルクは人の手ではめられた物で、エアーでも開けられる事ができ


ポン、という音と共に、エアーはコルクを抜いた。


そして、次の瞬間


エアーは、その中身を、何の躊躇いもなく、口に運んだ。


いわゆる、ラッパ飲みである。

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