《MUMEI》

.

そんなふたりにわたしは、そんなことないもん!と言い返す。


「わたしだって恋愛くらい出来るもん!!」


必死に言い募ったわたしに、亜由美は笑いながら、ムリムリ!と一蹴する。


「眞夜の好きなひとって、少女マンガに出てくる王子様キャラとか、テレビのアイドルばっかじゃん」


「うわっ!マジで??ちょっと引くわー!!」


そう言って、ふたり、ゲラゲラ笑い出す。

わたしはとても悔しかったけれど、図星なのでなにも言い返せず、ただふたりを睨みつけていたが、



「一色と付き合うとか、ムリじゃね?」



有馬くんが言った、その一言で、


プツンと、堪忍袋の尾が切れた。



−−−バンッ!!



わたしは亜由美の机を思い切り叩いた。大きな音に、亜由美と有馬くんはビックリしてわたしの顔を見る。

ふたりの視線を感じながら、

わたしは、





「彼氏くらいいるよッ!!」





口から出まかせが飛び出してしまった。





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