《MUMEI》
ウェディング5
見合いの話しを白状した。

「あぁ、やっぱり」
リアシッラはがくりと肩を落とした。

「それ、見合いじゃないんだ。知ってるお嬢さんなんだよ。父にまで手を回すんだから、もうしつこくて、本当に」

「それだけ、若様のことを好きなのでは」

「好きというか、僕を結婚相手として最良だと判断したようなんだ。自分で言うのもなんだけど、顔良し給料良しでさ。髪が明るくて、目鼻立ちのぱっとした方なんだよ。僕との子なんてどうなるか」

「かわいいでしょうね」

「まさか。足し算し過ぎて大変なことになるよ。いじめられるに決まってる」

リアシッラが外見にコンプレックスを持っていることは、ウェルカも薄々気付いていた。

「僕の子だよ。そんな苦労はさせたくない。ウェルカの子はかわいいだろうな」

仰天した。
ぼっと顔がほてる。

「ま、まままま、また若様は、そういうことを」

「そうじゃない。男親に似るのは女のこだっけ?黒髪美人になるよ。ぜひ連れて来てくれ」

頬を花色に染めて言う。

「僕が惚れたりして」

その冗談を、ウェルカは笑って返した。

ベルカ家は由緒ある貴族。
遅かれ早かれ、リアシッラは結婚し、子を作る。会社は継がなくとも、ベルカという家を残すためだ。

リアシッラに会う口実を作るため、まだ見ぬ我が子のことを思うウェルカだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫