《MUMEI》

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グロスを塗りはじめた彼女を見つめながら、わたしが普通に、わかったーと答えると、亜由美はニヤリと笑う。


「眞夜も『例のカレシ』とデートすれば?」


つい、ギクリとする。



………やばい!

ウソついたこと、すっかり忘れてた!!



わたしはぎこちなく笑い、そそそうだね、としどろもどろに答えた。


「かか彼、きょ今日、ヒマだって言ってたし!電話してみよっかなー??」


あらぬことを口にしてしまった。



………あ゙〜〜〜!!

勝手なことをベラベラとッ!!



亜由美は、わたしがあからさまにうろたえる様子を見て、さらにニヤニヤしたが、それ以上つっこんではこなかった。


「それじゃ、お先☆」


亜由美は自分のバッグを肩にかけると、颯爽と教室から出て行ってしまった。


彼女のキレイな後ろ姿を見つめて、

わたしは深い深いため息をついた。





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