《MUMEI》

.

わたしは、ん〜?と生返事を返す。


「メール」


「だれと?」


「学校の『オトモダチ』」


淡々と言葉だけが行き交う。その間も、わたしは携帯の画面から目を離そうとしなかった。

絵麻は眉をひそめて、『オトモダチ』?と不思議そうに首を傾げる。


「それにしては、ずいぶん熱心だね」


そう言われて、わたしは、まぁね…と曖昧に頷いた。



−−−メールの相手は、

仲元くんだった。

このまえ、一緒に帰ったとき、

別れ際、番号とアドレスを交換した。


新しく登録されたわたしのメモリーを見て、

仲元くんは、とてもうれしそうだった。


その日以来、

こまめにメールが送られてくる。


内容は、やっぱり他愛もないことで、

初めは返信するのを、面倒に思っていたけれど、

今は、その面倒な作業にすら慣れてしまい、

こうして、テキトーにメールのやり取りをしている。



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