《MUMEI》

「ねぇ、センパイ。オレのこと、好き?」

「好きなんかじゃっ…!」

「ウソ。信じないよ、そんなウソ」

…何を言っても信じないくせに。

今までどんな断りをしても、聞き入れなかったクセに。

「センパイはオレのことが好きなんだよ。いい加減、認めなよ」

真正面から、俺の目を見つめながら言って、そして…いつもの熱いキス。

「んっ…」

噛み付くようなキスを何度もされると、頭の中がぼうっとしてくる。

抵抗なんて出来ない。

許してくれない。

「…ふっ」

いきなり唇は離された。…相変わらず勝手な。 

「他のヤツなんて好きになるなよ。なったら、殺す」

「…誰を?」

「もちろん、そいつを」

ニヤッと嫌な笑みを浮かべる。

「センパイはオレ以外、好きになっちゃダメ」

「ワガママだな」

「ヤダな〜。センパイだって分かってるでしょ?」

…俺をまるで睨み付けるような目線で見てきた。

「オレが狂っているのはアンタのせい。アンタがオレを狂わせたんだよ」

「…なるほどな」

一理あると思ってしまう。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫