《MUMEI》 カウの体はムチによって変形し始め、顔は苦痛に歪んでいる。 クイナはカウに力をそそぎ込むも、その力さえも闇のムチから吸い取られてしまう。 「うっ…ぐっ!」 次第にクイナとカウの力が無くなっていく。 「諦めて、大人しくしてたほうが苦痛は少なくて済むよ?」 「誰がっ、諦めるものかっ…!」 カウと共に生きることを決めた。 例え寿命を削られようが、この身にどんな負担がかかろうが、カウと生きるからこそ受け入れられる。 「こんなっ所でっ…」 しかし膝から力が抜け、思わず膝をつきそうになる。 冬なのに、体中から汗がふき出す。 「はあはあっ…!」 視界も暗くなる。 このままではっ…! 「クイナさん、お待たせしました!」 少年の声が上から聞こえてきた。 顔を上げると、月の光を浴びて、大きな黒い鎌の刃が見えた。 白い髪に、金を含めた赤い両眼の少年が、鎌を振り上げ、カウを縛り上げる闇のムチを切り裂いた。 カウは自由になり、すぐにクイナの側に戻る。 「カウっ! 大丈夫?」 しかしカウは何度も足を折り、ついには道に倒れてしまう。 その様子を見て、カルマは顔をしかめた。 「遅くなって申し訳ありません」 「あなたは…?」 カルマは等身大もある大きな黒い鎌を持ち、黒い布で全身を覆っていた。 「カルマと申します。マカの同属です」 「ああ…」 クイナは数日前、マカに会っていた。 あの時、マカの言った言葉の意味が分かった。 前へ |次へ |
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