《MUMEI》 「……意外と強い。」 美作と内館は潰れてしまった。 「よく言われます。」 学生の頃は後片付け係だった。 「私は二郎君が嫌いな訳じゃありませんからね……」 残っているつまみを口に運びながら社長はぼやく。 「はい。」 「二郎君が良い子で、自分の子供みたいに可愛かったから。大人な二人にたじろいでしまった。これって、私が子供だってことなのだろうか。」 「私もそうですよ。大人は子供です、そして子供は大人になってそのカラクリに気付くんです。」 社長と同じで自分だって戸惑っていた。 「饒舌になってるな……弱音を吐いて申し訳ない。」 「そういうお酒の飲み方好きです、構いませんよ。」 語り明かすような酔いは、発散されて気が楽になる。 「もっと頭カタイ人だと勘違いしてたよ、申し訳ない。 この二人と一緒に居るだけの度量があるのだからね、親しみやすいよ。」 「どうも、自分も似たようなこと考えていたのであいこですね。」 二人で乾杯した。 前へ |次へ |
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