《MUMEI》

「……意外と強い。」

美作と内館は潰れてしまった。


「よく言われます。」

学生の頃は後片付け係だった。


「私は二郎君が嫌いな訳じゃありませんからね……」

残っているつまみを口に運びながら社長はぼやく。


「はい。」


「二郎君が良い子で、自分の子供みたいに可愛かったから。大人な二人にたじろいでしまった。これって、私が子供だってことなのだろうか。」


「私もそうですよ。大人は子供です、そして子供は大人になってそのカラクリに気付くんです。」

社長と同じで自分だって戸惑っていた。


「饒舌になってるな……弱音を吐いて申し訳ない。」


「そういうお酒の飲み方好きです、構いませんよ。」

語り明かすような酔いは、発散されて気が楽になる。


「もっと頭カタイ人だと勘違いしてたよ、申し訳ない。
この二人と一緒に居るだけの度量があるのだからね、親しみやすいよ。」


「どうも、自分も似たようなこと考えていたのであいこですね。」

二人で乾杯した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫